[情報] 369
No.369 限界
煽り:波濤を超えて──漕ぎ行く先に──光はあるか?
2日目・出航より18時間経過
夜の海を航行中のBW号
目を覚ますクラピカ
クラ「う…」
ビル(お、よかっ…たァ~~)
ビル(リスク覚悟で医者呼ぶか迷ってたんだ)
クラ「今何時だ!?」
ビル「シッ」
ビル「他の連中はお前が倒れた事に気付いていない!!」
ビル「任務中だと思ってるはずだ。声を落とせ!」
クラ「私は…どのくらい気を失ってた!?」
ビル「…と……大体9時間だな」
クラ(そんなに…)
クラ「……王妃は!?」
ビル「…実はなお前とほぼ同時に気を失ったんだ」
クラ「な…」
ベッドに寝かされているオイト
オイトの側には発動しっぱなしのドルフィン
焦るクラピカ(エンペラータイム!12時間…!発動したままか…!!)
目を覚ますオイト
オイト「……ワブル…は……?」
シマノ「こちらにおられます」
ビル「…こりゃあお前が無理してパンクすると能力をシェアしてる人物もいっしょに…
てパターンじゃねーか?」
クラ(エンペラータイムの継続は3時間が限界でそれを超えると3倍の9時間失神する
という事か…!?)
クラ(いや…もしかしたら奪った能力の威力(コスト)によって限界の時間が変化するの
かも知れない…!)
クラ(今も発動は続いている…次も3時間で限界が来るとは限らない)
クラ(気を失う前の…爆音の様な脈動がおそらく限界の前兆…!)
クラ「王妃」
オイト「わかっています。探索を続けるわ」
オイト「第12王子からでいいのよね?」
クラ「いえ…思ったより私の能力は無理がききませんでした。今回の深い眠りはそのせ
いです」
クラ「したがって探索の順番を変えます!まずは第4王子の警護人と配置を調べて下さ
い」
オイト「……顔色がひどいわ…本当に大丈夫…?」
クラ「正直私にもわかりません。ですので必ず私が合図したらすぐに能力解除をドルフ
ィンに命じて下さい」
オイト「…ツェリードニヒが一番なのね」
冷たい表情のオイト「それは貴方の都合って事?」
クラ「いいえ…それよりも大きな戦略上の理由があります」
クラ「まず第1王子の私設兵はおそらく全員が念能力者です。部屋はアリ一匹通さない
でしょう」
クラ「逆にその警備力を確かめるため時間に制限が無いなら最後に侵入を試みようと思
っていました」
クラ「第2王子が今回の呼び掛けに応じていないのは同様に私設兵が念能力をマスター
しているからと思われます」
クラ「偵察の機会すら放棄するのは能力者の中にそれを補う者が既にいてドゥアズル王
妃所属のスラッカで十分だと思っているか」
クラ「全ての権限を第2王子が握っているからだと考えられます」
シマノ「その洞察はおそらく当たっています。カミーラ様に意見出来るのは国王様唯一
人…!」
クラ「第3王子とは上手くコネクションが出来ました」
クラ「よって全く情報が無く優先順位が高いのは第4王子という事になります」
オイト「…」
クラ「王妃…不安なお気持ちはお察しします。ですから私も何度でも言います」
クラ「私達は王子と王妃をお守りする為ここにいます。信じて下さい」
シマノ「……オイト様………!」
ワブルがクラピカに手を伸ばす
オイト「ワブル…」
ワブル「あ、ば!」
ワブルに手を差し出すクラピカ
クラ「ワブル王子はいかがですか?」
クラピカの手を握るワブル
ワブル「だ!だ!」
オイトが表情を緩める
夜が明ける
通気口の中を進むゴキブリ
オイト(慎重に…迷わない様に…!)
オイト(でも急がないとクラピカの負担が大きい…!)
オイト(ここを曲がったダクトの先がツェリードニヒのリビング)
通気口の角を曲がると大口を開けたツェリードニヒの霊獣が待ち構えていた
オイト「ひぃやあああ!」
オイトの悲鳴を聞きつけたバビマイナらが駆け付ける
バビ「オイト王妃!どうされました!?」
手でバビマイナを制するクラピカ
クラ「大丈夫うなされただけだ。持ち場に戻ってくれ」
バビ「…」
クラ「王妃一体何が…?」
オイト「排気口の通路に突然女の顔が現れて……おそらく虫はその人に食べられました
」
ドルフィン「リトルアイが強制解除されマシタ」
オイト「あの…私の横の…イルカ…?も強制解除されたと言っています」
クラ「…わかりました。ドルフィンに解除命令を出して下さい」
オイト「はい」
ドルフィンが消えクラピカも解放される
クラ(結局…まる9時間…!何の収穫もなく時間を浪費してしまった…!)
クラ(排気ダクトは防衛上絶対に人が通れない様に出来ている。王子を護っている念獣
か…!)
クラピカの体に疲労がのしかかる
クラ「ッ…」
クラ(制約を設けても…体の負担が軽くなる訳ですらない…か)
クラ(慎重に使わなければほんのわずかなミスが命取りになる…猛毒の両刃…!)
オイト「…あの色々と…混乱して動揺してしまってすいませんでした」
クラ「とんでもない!こちらこそ突然無茶なお願いを聞いて頂き感謝しています」
オイト「あの私にも…念能力を教えていただけませんか?」
オイト「知る事で生き残る確率が大幅に上がると言っていましたよね?」
オイト「確かにあの世界が視えると視えないとでは立ち位置が全く変わります」
オイト「出来るかも知れない事を増やしたいの。ワブルの為に…!」
クラ「…申し訳ありません」
オイト「ダメですか…?何故です?……やはりマイナスの方が大きいからですか?」
クラ「いえ、そうではありません。事後承諾になってしまった事について…です」
オイト「…え?」
クラ「私の能力は半ば強制的故に副作用があります」
クラ「念能力のない者に使うと眠っている能力をムリヤリ目覚めさせてしまう」
オイト「…では」
クラ「はい」
クラ「王妃はもう既に念を使える準備が出来ておいでです」
2日目AM9:00
1014号室に各王子の私設兵や従事者が集まる
マラヤーム王子警護ベレレインテ(ハンター協会員)
マラヤーム王子警護バリゲン(セヴァンチ王妃所属兵)
セヴァンチからの伝言を思い出す二人
セヴァンチ「そいつが正しく念を教えるかチェックして報告してちょうだい!逐一よ!
」
ベレレインテ(うふふチクイチって何か可愛い)
セヴァンチ「期間内に念能力を習得してきて!至上命令よ!」
バリゲン(ウェルゲーでなくこの俺に指名が…!この好機必ず活かす!)
フウゲツ王子従事者イラルディア&ラジオラス(な…なぜ警護兵でなく私達が…)
カチョウ王子従事者ロベリー&ユウリ(数時間でもあの空間から離れられる♪)
ハルケン王子警護シェジュール&ユヒライ
彼らの手にも鳥の羽の刻印
ハルケンとのやり取りを思い出す二人
護衛全員の手に鳥の羽
護衛「これは?」
ハルケン「私にもわからない」
ハルケン「おそらくワブル王子の警護人が発信したネンジュウに関わるものだと思う」
ハルケン「これが何なのか探ってきてくれ。こちらの情報は全て開示して構わない」
シェジェール「俺はこれ王子の念獣の仕業だと思うがな」
ユヒライ「同感だ。王子の説く『覚悟の刻印』そのものだもんな」
サレサレ王子警護ムシャホ(スィンコスィンコ王妃所属兵隊長)
ムシャホ(王子に上手く厄介払いされた形だが…他の者には任せられない最重要任務で
ある事は事実!)
ルズールス王子警護サトビ(ドゥアズル王妃所属兵隊長)
サトビ(他の警護兵の動向を探り交渉も出来る絶好の機会…!)
サトビ(…しかし一介の警護人一人に踊らされている感は否めん…!危険人物だな…)
ツベッパ王子警護マオール(ツベッパ私設兵隊長)
ツベッパ王子警護ロンギ(ツベッパ私設兵)
ツベッパからの伝言「彼の頭脳がぜひ欲しいわ!王子ごとでいいから仲間にしたい」
「この2週間を使って隠密に説得して頂戴!」
マオール「衆人環視の中バレずに折衝するなら手紙が一番確実か…」
ロンギ「符号を使っての動作交信は傍受のリスクが高いですからね」
ツェリードニヒ王子警護ミュハン&ダンジン(ツェリードニヒ私設兵)
ツェリからの伝言「約束の2週間で念を覚えられなかったら全員殺っていいよ」
ミュハン「だって。ウフフフフフフフフフフフフフフ」
ダンジン「おい。わざと覚えないとかナシだぞ?」
チョウライ王子警護テンフトリ(チョウライ私設兵)
チョウライからの伝言「お前は王妃ではなくクラピカに接触する人物をチェックしろ。
彼が今後の鍵だ」
テントフリ(要注意は…No.1・No.4・No.5だな)
ベンジャミン王子警護ヒュリコフ(ベンジャミン私設兵)
ヒュリコフ(まさか敵から招き入れてくれるとはな…)
ヒュリコフ(外見は勿論教え方・しぐさ・話し方等からでも系統や能力のヒントは得ら
れる…!)
ヒュリコフ(これは念能力…というより経験によるスキル…!)
ヒュリコフ(生命線ゆえ誰にも明かさない俺の奥義…!)
ヒュリコフ(念能力者とそうでない者とで最も違いが現れ易いのが…横から見た眼球周
辺の揺らぎ…)
ヒュリコフ(おやおや…?)
ヒュリコフ(ハンター協会員が念能力を使えるのは当然として…あと4人も使えないフ
リをしている奴等がいるんだが…)
ヒュリコフ(理由が協会員と同様に潜伏調査なら問題ないがもしも俺と同じ『任務』な
らば)
ヒュリコフ(お前達が能力を発動すると同時に俺は防衛権を行使する!)
ヒュリコフ(いつでもいいぜ。来るなら来い…!)
ヒュリコフ(──っていうイキリ面してるんだろうな…顔見なくてもこれ見よがしのオ
ーラでわかる)
ヒュリコフ(それなら望み通り…"11人いる!(サイレントマジョリティ)"発動してやる
ぜ……!)
ヒュリコフの側に女中の姿をした念人形が現れる
煽り:群れの中に紛れし狩人
曲はバグベアがツボ。詩は切ないのが好き。渋谷川コールミー青空が違うetc<義博>
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※ 文章網址: https://www.ptt.cc/bbs/Hunter/M.1503461522.A.CAD.html
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