[情報] 「恋極星」 戸田恵梨香と加藤和樹 北の町の悲恋
「恋極星」 戸田恵梨香と加藤和樹 北の町の悲恋
藤枝正稔2009/02/08
戸田恵梨香と加藤和樹主演の「恋極星」。北海道を舞台に、少女漫画を原作とした悲し
い恋物語だ。女性写真家・ＡＭＩＹ ＭＯＲＩの初監督作品である。
舞台は北海道。かつて夜空の美しさから“星の降る町”と呼ばれた小さな町。「恋極
星」は、主人公・葉月と颯太の幼少期から幕を開ける。葉月の父が経営するプラネタリ
ウムで、颯太はおもちゃの指輪を葉月の左手薬指にはめ、将来の結婚を誓い合う。しか
し、颯太はカナダに引っ越し、いつの間にか連絡は途絶える。そんな颯太が「４年前に
帰国した。東京の大学に通っている」と聞いた葉月は、裏切られたような気持ちを抱く
。颯太が町を離れ、11年が過ぎていた。
葉月は両親を亡くし、施設で暮らす知的障害の弟・大輝の面倒を見ながら一人で暮ら
している。父のプラネタリウムも取り壊しが決まり、人生に絶望する葉月の前に、突然
颯太が現れる。最初は颯太と分からない葉月と対照的に、大樹ははっきり覚えていた。
11年ぶりに現れた颯太に、素直になれない葉月。一方、颯太は積極的に彼女を誘い出す
。葉月と大輝を招き、星空の下のクリスマス・パーティー。遊園地に連れ出し、二人の
笑顔をビデオカメラに収める。
ところが、ある日颯太は「そろそろ東京に帰る」と言い出し、葉月はショックを受け
る。そんな葉月に、颯太は「二人だけでデートしよう」と提案。葉月は思い切りおめか
しし、待ち合わせ場所で颯太を待った。しかし彼は来なかった。颯太と連絡が取れなく
なった葉月に、思いもよらぬ悲しい事実が知らされる──。
雑誌「別冊フレンズ」掲載のコミック「君に光を」の映画化で、女性写真家・ＡＭＩ
Ｙ ＭＯＲＩの初監督作品である。近年流行の“難病もの”だ。物語前半は二人の再会
から恋愛へ発展する様子、後半は病の颯太に寄り添う葉月が描かれる。ジメジメしがち
な話をサラリと描く。葉月役は戸田恵梨香、颯太役は加藤和樹。人気タレントを押し出
した作品なので仕方ないが、病気をきれいごとのようにとらえる点が頂けない。体力的
に弱っていく颯太も、いつまでもきれいなまま。病人に見えないのも難点で、看病する
葉月の絶望感も見えてこない。
葉月が颯太に送る星空を使ったサプライズは、漫画が原作だけに現実味は薄いが、フ
ァンタジックで美しい。颯太のビデオカメラも「ニュー・シネマ・パラダイス」（89）
のラストと同じ使われ方で、もうひとひねりほしかった。現代的な音楽、携帯電話、ビ
デオカメラなど最新デジタル家電も出てくるが、どこか1970年代のプログラム・ピクチ
ャーに似た雰囲気を感じる恋愛ドラマだ。
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「恋極星」（2008年、日本）
監督：ＡＭＩＹ ＭＯＲＩ
出演：戸田恵梨香、加藤和樹、若葉竜也、吹越満、熊谷真実
３月14日、シネ・リーブル池袋、新宿武蔵野館ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイ
トまで。
http://www.cinema.janjan.jp/0902/0901316557/1.php
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